起立性調節障害とは?症状と6つの対処法

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起立性調節障害(orthostatic disturbance; OD)をご存知ですか?

子供に起こりやすい障害の一つなのですが、この症状をしっかりと理解していないと、お子さんがあらぬ誤解を受けてしまったり、不登校の原因になったりもします。ここでは、起立性調節障害の具体的な症状と、お子さんがODかな?と心配になった時の6つの対処法をお伝えしたいと思います。

起立性調節障害(OD)とは?

思春期に起こりやすい病気の1つに「起立性調節障害(OD)」があります。人は起立すると、重力によって血液が下半身に移動します。これを阻止するために自律神経による代償機構が働き、心拍が増加し、血管を収縮させて血圧を維持します。

しかし、ODではこの自律神経の働きがうまくいかず、血圧低下や頻脈、脳や全身への血流が低下するため、立ちくらみや全身倦怠感、思考力低下などが起こります。

この自律神経機能不全は午前~昼過ぎに強いため、午前中は布団からでることができず、怠け者に見えてしまいます。ODの約1割は重症型であり、遅刻や欠席が続くこともよくあります。また、不登校の約3~4割はODを伴っており、心と体の両面からの対応が欠かせなくなっています。

起立性調節障害は身体の病気?心の病気?

ODの改善には、心と体の両面からの対応が必要とされています。午前中に症状が悪くなり学校を遅刻しがちになる一方で、午後~夜にかけては、体調が回復し元気になります。

夜、テレビゲームなどをして遊んでいる子供の様子を見ると、「どこから見ても病気とは思えない」というのが、おうちの方の本音だと思いますが、ODは決して怠けや仮病ではありません。ODの子供は、倦怠感やめまいなどの身体的な症状により、本当に体を思うように動かすことができないのです。

一方で、ODの原因となる自律神経の乱れには、その子の性格特性やストレスなどの心理的背景も関係してきます。ODになるお子さんは、幼少期から周囲への気配りをよくし、感情を抑制しやすい子が多いようです。

家庭内や学校などでの集団生活でも自己の欲求を押さえる傾向にあります。このような、ストレスがODをさらに悪化させ、不登校になっていくケースもめずらしくありません。

身体の問題か?心の問題か?と型にはめて考えるのではなく、身体症状の辛さに寄り添いつつも、心理的背景にも心を配る必要があるのです。

起立性調節障害の子供への対応のコツ

お子さんによって症状は様々ですが、どの重症度のお子さんにも共通する対処法を6つお伝えします。

  1. 学校生活全てにおいて、静止状態での起立を3~4分以上続けないこと。
  2. 暑気を避ける。ODの症状が強いお子さんが夏に体育の授業を見学する場合などは涼しい場所で過ごさせる。
  3. 低血圧予防のため、水分補給を欠かさない。
  4. 体調不良になったら、すぐに臥位にさせ、脳血流を回復させるようにする。
  5. 朝、症状が強いお子さんに対しては、学校への登校時間は午後からにするなど、無理はさせない。
  6. 登校を強要するなど、プレッシャーを与えすぎない。

ODのお子さんは、軽症の子も含めるとかなり多くいます。軽症のお子さんは、不調を感じつつも、日常生活にほとんど支障なく過ごせますが、中等症~重症型のお子さんの症状改善には、年単位で時間がかかります。

高校2~3年生くらいになるとかなり回復してくるお子さんが多いようですが、社会復帰にはやはり時間がかかるものです。学校と家庭とが連携した、根気強い対応が欠かせません。

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