みんな同じように見えていると思いがちな「色」ですが、少しずつ見え方が違います。決して病気ではないのですが、見え方が大きく違っている場合、医学的には「色覚異常」と言ったりもします。
色覚異常とは?
簡単に言うと、生まれつき色の区別がつきにくい状態(先天性色覚異常)をいいます。特に、赤と緑の区別がつきにくいという方が多くいて、男性では20人に1人、女性では500人に1人の割合でいると言われています。
色の見え方に問題はないけれど、その因子を持っている女性は10人に1人(5%)です。これは日本人のAB型の人の割合と同じくらいになります。そう考えると、「異常」という言葉が使われていますが、決して異常なことではなく、ごく普通のことですよね。
色覚検査と職業
子供の頃に、学校健診で様々な色の数字を読まされたことはありませんか?これは、色覚異常の検査で、大正9年から平成14年まで、小学校4年生全員に実施されてきました。平成14年以降は、ほとんど実施されていなかったのですが、自分の色の見え方の特徴を知らずに大人になった人が、就職の際に気がつき、ショックを受けるということが、今起こっているようです。
職業によっては、色覚異常があることで、不利になってしまう職業(微妙な色を見分ける必要がある美容師や写真家、印刷業など)や、就くことができない職業(航空、船舶、鉄道、警察など)があります。先天性色覚異常は、生まれてからずっと同じ色の見え方なので、検査をするまで気がつかないという人がかなりいるようです。
色のバリアフリー
色覚異常があったとしても、今までの経験から、色の違いをなんとか見分けて生活していくことができます。しかし、周りの人の配慮が足りないばかりに不便な思いをしたり、心が傷ついたりしている人は大勢います。
色を間違えて、ふざけるなと言われた、緑の黒板に赤のチョークで書かれたために文字が読めなかったというようなエピソードを本当によく聞きます。周りの人が色覚のことについての知識をもっていれば、このようなことは起こらないと思います。色のバリアフリーが当たり前のことになっていけばいいなと感じます。