電子タバコとは?禁煙の効果と知っておくべき危険性

電子タバコ-禁煙-効果

タバコは喫煙者個人だけの問題ではなく、タバコの煙の受動喫煙により、不特定多数の人の健康を害する恐れがあります。近年では、禁煙をする人が増えてきましたが、それに伴い、禁煙環境での代替、ニコチン補給の代替品として電子タバコや無煙タバコの需要が高まりつつあります。

電子タバコとは

電子タバコは、カートリッジに入った液体を電気的に霧状にして吸引します。紙巻タバコに似せられて作られた製品です。

カートリッジ側にある吸い口から吸引すると電源が入り、液体ニコチンが過熱されて気化し、蒸気となって吸い口へ流れていきます。一見、紙巻タバコを吸っているように見えますが、何も燃えていないため臭いはありません。

日本では、ニコチン入りの電子タバコの製造・販売は規制されていますが、外国産を個人的に持ち込んで使用することは可能です。

電子タバコの禁煙の効果と安全性

電子タバコで禁煙できると考えている人が多くいますが、実は、その効果は不明であり、安全性についても根拠が不十分なため、安易に継続的に使用するのはよくありません。

世界保健機関(WHO)は、電子タバコの安全性や効果に警告を発し、「安全性や禁煙の効果は確認されておらず、正しい禁煙治療とは考えられない。電子タバコに使われている科学物質の中に、強い毒性のあるものが存在している可能性がある」と、指摘しています。

アメリカの食品医薬品局も、ニコチンが含まれていないという電子タバコのカートリッジから微量のニコチンやジエチレングリコールが検出されたこと、発がん物質や人体に有害な化学物質が含まれていることを発表しました。

日本国内でも、厚生労働省が「ニコチンは医薬品成分で、電子タバコに含まれると認識しないまま、長期間繰り返し使用すると、吐き気や嘔吐、けいれん、頭痛、めまいなどの副作用や依存性が現れたり、妊婦などハイリスクの人に影響を及ぼしたりする恐れがある」との注意勧告を公表しました。

また、電子タバコは副流煙が出ませんが、副蒸気を発生させます。しかし、その安全性は証明されていません。

電子タバコの子供の事故も急増中

電子タバコに関連する事故のおよそ50%以上が、5歳未満の幼児が液体ニコチンを誤飲した、吸い込んだ、皮膚にこぼした、目に入ったなどの事故です。

電子タバコの液体ニコチンには、キャンディーやフルーツなど子供が好きそうな風味がつけられているにもかかわらず、容器には子供の安全への配慮が義務づけられておらず、危険だと指摘されています。

電子タバコの普及が子供や女性に与える影響

電子タバコは、海外に比べ日本ではまだそれほどは普及していませんが、使用者は毎年確実に増えています。電子タバコは、紙巻タバコよりも安全で、使用するのにハードルが低いと勘違いされており、未成年者や女性の喫煙開始を誘発させてしまうのではないかと懸念されています。

私は、子供に喫煙の害などについて話をすることがあるのですが、子供は小学生でさえも、大人が思っている以上にタバコへの関心を強く持っています。家族で喫煙者がいるとなおさらです。

6年生の児童にタバコの値段を聞いたところ、「420円」と、当然のように答えていました。使用することはもちろん、おつかいで買うことも禁止されているにも関わらず、子供が値段や銘柄を知っているというのは、それだけ興味・関心を持っているということです。

また、喫煙の害などについて話をする前に、タバコに対するイメージを聞いたところ、

  • 身体に悪い
  • けむたい
  • 臭いがイヤ

というマイナスな意見が出た一方で、

  • 大人が吸っている
  • かっこいい

という意見も多く出ました。大人っぽいというイメージは、背伸びをしたい、尖っていたい年頃の子供にとって非常に魅力的です。実際に、25歳を超えてからタバコを吸い始めた人は1割未満で、喫煙者のほとんどが10代から喫煙を始めてることがわかっています。

私は特に女の子に対しては、「二十歳になったとしてもタバコは吸わないほうがよい」と口を酸っぱくして言っています。以下のグラフに示す通り、男性の喫煙率が年々下がる一方で、女性の喫煙率は増えていることが分かっているからです。

喫煙率-推移

(出所:日本専売公社、日本たばこ産業株式会社の調査によるデータを独自にグラフ化)

しかし、女性が喫煙することにより、自分自身の身体に対してだけでなく、自分の子供の身体にも悪影響を及ぼしてしまいます。女性が喫煙することで、流産や早産のリスクが高まることや、妊娠中に喫煙していた母親から生まれた子供は、非喫煙者の母親から生まれた子供より、体重が100g少ないことがわかっています(妊娠前にタバコをやめても低体重になる可能性あり)。

電子タバコについてネットで調べてみると、

  • 害が少ない
  • 禁煙グッズ
  • おしゃれタバコ
  • ファッション性の高い
  • 女性に人気の

といった魅力的な言葉で売り出されている電子タバコが多く紹介されており、禁煙指導をしている立場としては、「これから消費者になり得る、何も知らない子供や女性をターゲットに売り出しているのでは」とさえ思ってしまいます。

「普通のタバコより害がないし…」、「おしゃれでかっこいいから…」など、安易な理由で使い始める未成年や女性がこれから増えていくのではないかと非常に心配です。

電子タバコについての研究はまだ始まったばかりで、わかっていないことが多くあります。知らないままで安易に電子タバコを使用し続けるのは非常に危険です。

「安全」「かっこいい」といったイメージに惑わされず判断していく必要があります。禁煙を目的としている場合には、禁煙外来を受診し、医師の指導の下、正しい方法で行っていくようにしてください。

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