冬になると、保健室には「お受験疲れ」の子どもたちが体調不良を訴えてやってきます。私が勤めていたのは小学校でしたが、中学受験をする子どもは何人かいて、やはり体調を崩していましたね。最近は、コンビニなどで売られている「エナジードリンク」を飲みながら夜遅くまで勉強をするという子もいるようですが、それは大変危険なことです。エナジードリンクの危険性とその理由についてお話します。
エナジードリンクと栄養ドリンクどう違う?
ここ数年の間に一気にメジャーになったエナジードリンク。パッケージもおしゃれでコンビニで売っているのもよくみかけますね。昔からあるリポビタンDなどの栄養ドリンクと同様に、疲れていて眠くてもがんばらないといけないときに飲むイメージですよね。エナジードリンクと栄養ドリンクの違いはいったい何でしょうか。
エナジードリンクと栄養ドリンクは分類が違い、含まれている成分も違います。
栄養ドリンクは医薬品または医薬部外品なのに対し、エナジードリンクはなんと清涼飲料水に分類されます。
成分の大きな違いとしては、肝機能に効果のある「タウリン」が含まれているかどうか。清涼飲料水であるエナジードリンクは成分に制限があり、タウリンに似たアルギニンという物質しかいれることはできません。
また、パッケージ等も栄養ドリンクは、「滋養強壮」「肉体疲労」「食欲不振」などの効果を表記することができますが、エナジードリンクには認められていません。
しかし、だからといって栄養ドリンクが良いというわけでは決してありませんのでご注意くださいね。
子どもに飲ませるのは危険すぎる!その理由は?
2011年アメリカで、「モンスター・エナジー」というエナジードリンクを24時間の間に700ml飲んだ14歳の女の子が死亡しました。原因は、カフェインの過剰摂取による不整脈でした。他にも、心臓に持病を抱える人などがエナジードリンクを飲み、死亡するという事故は多数報告されているようです。
カフェインの効果と危険性
カフェインには、中枢神経を興奮させる作用があり、疲労や眠気をごまかし、運動機能を更新させる働きがあります。しかし、大量に摂取すると、心拍数が増加し血圧が急上昇します。心臓に非常に負担がかかり、場合によっては心不全を起こすこともあるのです。
また、
「落ち着きがなくなる」
「焦燥感」
「不安感」
「不眠」
などの精神的な症状も出てくることから、徹夜をしたいからといってエナジードリンクや栄養ドリンクなどカフェインを多く含む飲み物に頼るのは効率的とはいえません。
子どもは特に危険!
1日に摂取できるカフェインの上限は、
大人:体重1kgあたり5.7mg
(体重60kgの人だと342mg)
子ども:体重1kgあたり3mg
(30kgの子どもであれば90mg)
これ以上のカフェインを摂取すると、身体症状や精神症状が出てくるといわれています。代表的なエナジードリンクに含まれているカフェインの量は以下の通り。
レッドブル・・・80mg
モンスターエナジー・・・142mg
どちらも子どもが飲むにはカフェインが多すぎることがわかりますね。恐ろしいことにカフェインには耐性や依存性があり、飲めば飲むほど欲するようになってしまいます。少ない量であっても、子どもは特にカフェインを摂らないようにした方がよさそうです。
子どもに安全な飲み物とは
とはいえ、カフェインを多く含む飲み物は意外と多いものです。
100mlあたりのカフェイン量
玉露・・・160mg
コーヒー・・・60mg
紅茶・・・30mg
ウーロン茶・・・20mg
煎茶・ほうじ茶・・・20mg
少量であれば問題ありませんが、水分補給としてたくさん飲むものはできるふだけカフェインが少ないものを選ぶとよいと思います。例えば、麦茶やルイボスティーなどはおすすめです。あとは、水!白湯!
保健室に来室した子どもに
「白湯飲む?」
と、聞いたら、
「なにそれ」
と、言われてしまいました。
私が小さい頃は、具合が悪い時などは母に白湯を飲まされたものでしたが、最近の子はあまり飲む習慣がないのかもしれませんね。
食べ物も飲み物もなんでもある時代。何を選ぶか難しいですが、なるべく体によいものを見極めていきたいですね。
まとめ
疲れていてもがんばらなくてはいけないときは大人も、子どもでさえもあります。でも、「眠い」「疲れた」「だるい」「集中できない」などの症状は、体が発信している危険信号。惰性でがんばるのではなく、時間を決めて集中するとか、早く寝て朝勉強するとか、資本である体を大切にしながらやっていくことを大切にしてほしいですね。
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