食物アレルギーの患者はめずらしくなく、日本人の全人口の1~2%、乳児の10%程度が何らかの食物アレルギーがあると言われています。
症状は様々で、なんとなく口の中がかゆい程度ですんでしまう人もいれば、ショック状態に陥り命を落としてしまう人もいます。みなさんの家族や知り合いでも、食物アレルギーがあるという人は少なくないと思います。
食物アレルギーの除去食とは?
食物アレルギーをもつ人やその家族は、常に食べ物に気をつけています。スーパーで食材を買うとき、外食をするとき、その食べ物にどんな食品が使われているか確認をして、もしもアレルゲンとなる食品が入っていた場合、食べるのを控えたり、代わりのものを食べたりします。
食物アレルギーを治すための方法はこの除去食が基本ですが、除去食は本人やその家族に多くの負担がかかります。また、誤食をしてしまえば症状が現れるのを防ぐことはできません。
経口免疫療法への期待と注意点
卵、牛乳、小麦粉等の食物アレルギーは、3歳になると50%、6歳になると90%のお子さんが自然に食べられるようになることが判っているため、除去食での治療が一般的です。しかし、中には6歳になっても耐性を獲得できないお子さんもいます。
経口免疫療法は、原因になる食物をごくわずかな量から摂取させて徐々に増やしていき、目標量まで接種できるようにする治療法です。耐性の獲得が難しい患者に対して、新しい治療選択肢になり得るとして、大きな期待が寄せられています。
ただし、安全性の確保は課題になっています。経口免疫療法中に、重篤なアレルギー症状が出てしまうこともあるようで、専門医が整った環境で研究的に行う段階の治療とされています。
また、毎日アレルギーの原因となる食品を食べなくてはならず、症状が出た経験があるお子さんにとって、肉体的・精神的に大きな負担になります。経口免疫療法を行う場合は、主治医からよく説明を受け、方法や困難さを理解した上で臨む必要があります。
それでもやはり、除去食の生活から抜け出し、アレルギーの恐怖から解放されれば、生活の質は劇的に改善されます。小学校入学の頃になっても除去食が必要な場合、専門医に経口免疫療法について相談してみるとよいのではないでしょか。(ただし、経口免疫療法を行うことが可能か判断するのは医師です)