10月はピンクリボン月間で、いたるところで乳がん検診を呼びかける「ピンクリボン運動」が行われています。乳がん患者は年々増えており、現在では女性のがんの中で1番多いのが乳がんで、12人に1人が罹患するといわれています。
私の職場では、希望者は子宮がん検診と乳がん検診を受けることができます。子宮がん検診は、全員が細胞診やエコー検査を行うのですが、乳がん検診は20代、30代ですと福利厚生でできる検査は触診だけでした。
40代後半から50代で乳がんになる人が最も多いですが、20代、30代でも乳がんになる可能性は十分にあります。それなのに、触診だけで果たして大丈夫なのか心配になりました。
ちなみにこちらのサイト記事を見てみると、元TBSアナウンサーの吉川美代子さんも乳がんであることが判明しているようです。
よくテレビでご活躍されていますよね。
皆さんはこのような経験はありませんか?乳がんとはいったいどんな病気なのか、また、20代、30代の若い世代が乳がん検診で気をつけるべきポイントは何かまとめました。
乳がんとはどんな病気?
乳がんは、乳腺にできる悪性腫瘍で、30歳~64歳の女性において死亡率が最も高い病気です。放置すると血管やリンパ管を通って、他の臓器や骨に転移していってしまうため、発見・診断・治療が遅れて病期が進むと生存率は下がっていきます。
しかし、逆に言えば早期発見・治療ができれば、治すことができるがんです。がん細胞ができて、乳腺の母乳を作る部分(小葉)や母乳を乳首まで運ぶ部分(乳管)の中にとどまっているうちに早期発見することができると、ほぼ100%の人が手術によって治すことができます。
しこりができても、2cm以下と小さく、リンパ節転移がないうちに治療ができた場合、10年生存率が95%と、ほとんどの人が助かっています。
乳がんが増加している原因としては、食生活の欧米化や女性の社会進出による晩婚化・初産年齢の上昇などが挙げられますが、ライフスタイルが多様化している現在、これらを変えていくことは難しく、予防よりも早期発見・早期治療が重要となっています。
20代30代の女性が検診で気をつけるべき3つのポイント
若い世代の女性が乳がん検診で気をつけるべきポイントを以下の3つに分けて紹介します。
- 若年性乳がんの危険因子を知っておく
- 適した検査方法を選ぶ
- 検査ばかりに頼らない
1. 乳がんの危険因子を知っておく
35歳未満の人が乳がんになった場合、若年性乳がんといいます。乳がん患者における若年性乳がん患者の割合は、およそ3%です。乳がん検診は、一般的には20代は検診不要、30代は任意となっているようですが、若年性乳がんになっている人が実際にいる以上、若くても乳がんの危険因子がある人は特に積極的に検診を受ける必要があります。
乳がんの危険因子
- 家族(特に母、姉妹)に乳がんになった人がいる
- 授乳経験がない
- 初産が30歳以上
- 良性の乳腺疾患(特に増殖性、異型を伴うもの)になったことがある人
- 肥満(閉経後の人)、やせ形(若年性)
2. 適した検査方法を選ぶ
冒頭でも少し触れたように、私の職場の福利厚生で受けられる乳がん検診は、20代、30代は視触診のみで、40歳以上になるとマンモグラフィーを受けられることになっています。
これには理由があって、マンモグラフィーは乳腺組織が密な若い女性が受けると、エックス線の画像が白くかすんでしまい、しこりが見つけにくくなるからです。若い女性には不向きな検査なのです。
一方でエコー検査は、乳腺があってもしこりを発見しやすくなっているため、若い女性にも向いていると思われます。私はまだ20代ですが、視触診検査だけでは少し不安もあったので、プラスしてエコー検査を自費で申し込み受診しました。私が受診した医療機関では、エコー検査は6000円しましたが、調べてみると4000円程度で受けられるところが多いようです。
3. 検査ばかりに頼らない
「医療機関で乳がん検診を受けたから大丈夫」と油断してはいけません。実は、若年性乳がんは、自己発見の割合が多く、見つかったときにはしこりがかなり大きくなっているということが多いようです。一年に一度検査をしていたとしても、その間に乳がんが急速に大きくなってしまうこともあります。
定期的に検診を受けることに加え、月に1回セルフチェックを行うことが大切です。
乳がん検診の方法
早期発見・早期治療のためには、定期的に検診を受けることがとても大切です。主な検診方法は以下の3つです。
1. 視触診検査
医師が、乳房にしこり、変形、陥没、分泌物等がないか診る検査です。身体に負担はかかりませんが、早期の小さな乳がんを発見することは難しい検査です。
2. マンモグラフィー
乳房専用のエックス線検査のことです。乳房を台の上に乗せ、上下から板で挟み乳房を押しつぶしたような状態で撮影をします。マンモグラフィーは、腫瘤や石灰化(しこりになる前の状態)を確認しやすく、早期に乳がんを発見することができます。ただし、わずかに放射線被曝のリスクがあります。
3. エコー検査
エコー検査とは、超音波検査のことです。乳房にゼリーを塗って、その上からプローブという機械を乳房に滑らせるように押し当てて検査します。マンモグラフィーのように石灰化は発見しづらいですが、被爆の影響もなく、小腫瘤などの小さなものも見つけることができます。しかし、治療の必要のない、良性の変化まで拾ってしまうところが難点です。
私も実際にエコー検査を受けたことがあるのですが、まず看護師さんがプローブで乳房の画像を調べ、所見があると思われるところの画像をいくつか撮っていました。
検査中、こちらからも画像が見えていたので、少し不安にもなりました。その後、医師の視触診を受けた際に、画像も併せて診てもらい、その場で「異常ありませんね」と結果を教えてもらいました。
3つの検診方法のメリット・デメリットまとめと受診した感想
メリット | デメリット | 受診した感想 | |
視触診検査 | ・身体への負担なし | ・早期発見が困難 | セルフチェックの参考になる |
マンモグラフィー | ・早期発見が可能 | ・放射線被曝リスク有 ・若い女性に不向き |
− |
エコー検査 | ・小腫瘤の発見も可 ・若い女性も受診可 |
・良性の変化まで拾う | 余計な心配をしてしまうこともある |
保健師の私が実践しているセルフチェックの方法
生理が始まって1週間後頃に行いましょう。
1. 見てチェック
乳房にひきつれやくぼみはないか、乳首のへこみ、乳輪の変化はないか、湿疹はできていないかチェックします。腕を上に上げたりしてよく観察してください。
2. 触ってチェック
お風呂でボディーソープがついた手で行うと、凹凸がわかりやすくなります。4本の指を揃えて指の腹を乳房に押し当て、「の」の字を書くように動かします。同じようにして、乳房の周辺もチェックしていきます。特に脇の下から乳房にかけては、乳がんになりやすい部分でもあります。しこりや部分的に堅いところがないか入念にチェックしましょう。
最後に、乳首を指でつまみ、分泌物がないかチェックします。セルフチェックを行い、少しでも違和感を感じたり、異常を発見したりしたら、必ず受診するようにしましょう。
40歳以上の女性と比べると、20代で乳がんになる人は多くはありませんが、もし乳がんになった場合に病期が進んでいることが多く、命に関わります。20代で危険因子がある人はもちろん、ない人でも、セルフチェックは必ず行ったほうがよいでしょう。
20代でも自分には関係のないことと思わず、意識して検査やセルフチェックを行っていくことがとても大切です。