もうすぐ学校では水泳学習が始まる季節ですね。千葉市の教育委員会は市内の小中学校に、日焼け止めクリームや帽子などを使用し、児童生徒を紫外線から守るよう通達を出しました。日焼けの健康被害が広く認識されてきたため、最近では、学校プールでラッシュガードや日焼け止めの使用を許可するところも増えてきました。しかし、まだまだそれらの使用を許可していない学校も少なくないようです。しかし、過度な日焼けは皮膚に決してよくありませんのでなんとか許可してほしいですよね。元学校職員の立場から解決方法を考えました。
日焼け止めやラッシュガードが禁止されている理由とは?
日焼け止め
学校プールだけでなく、市民プールなどでも「日焼け止めの使用を控えてください」というような注意書きを見ることがあります。その理由は、水質の汚染を防ぐためだと言われています。学校プール使用の指針となっている日本学校保健会が発行しているマニュアルには、「無条件に全員が使用することを許可するとプール水の汚れの原因になる」とあり、学校がプールの際に日焼け止めを禁止する大きな理由となっています。
最近では,日焼け止めはそれほど水質の汚染には関係ないとも言われているようですが、日焼け止めの細かい粒子がろ過装置のフィルターに残り、フィルターを劣化させる可能性があるそうです。
皮膚が弱く、日焼けで健康が損なわれるという人にまで、学校は日焼け止めを禁止にすることはまずないと思います。しかし、日焼け止めの使用を全面的に許可してしまうと、水質やフィルターの劣化だけでなく、着替えに時間がかかったり更衣室が汚れたり、先生たちの手間が増えるのが現実。申し出があればもちろん許可しますが、そうでなければあえて日焼け止めをすすめたりはしないという学校が多いのではないでしょうか。
ラッシュガード
では、ラッシュガードなら問題ない?もちろん、ラッシュガードを着たい人は着ればよいと思います。しかし、日焼け止めと一緒で無条件にラッシュガードを着て良いとしている学校はまだ少ないように思います。
その理由として、ラッシュガードを着ているとシャワーで十分に体を洗えないという問題があります。学校のプールは、一般のプールよりも塩素がうすくなっています。そのため、プールの前後にはシャワーで体をよく洗い流すことが大切なのです。また、ラッシュガードには糸くずなどが付着していることが多く、多くの人がラッシュガードを着てプールに入ると水質汚染や機械の故障につながることもあるようです。
また、特に小学校は水の抵抗を体で学ぶ機会になりますし、ラッシュガードを着ていない方が泳ぎも上達しやすいです。
日焼け止めもラッシュガードも「水質」「水質」と言って、なぜそんなに水質を気にするのか不思議ですよね。しかし、学校のプールは環境衛生の基準が満たされなければ、子供を入れることができなくなってしまうのです。
そして、そのプール水の管理をしているのは教員。
プールの季節になると、ろ過装置をまわして塩素を入れて、1日に何度も水温や塩素濃度を測って、濃度が足りなければ塩素を足して・・・。この作業を子供の指導をしながら合間の時間に行っているのです。炎天下の中、これはなかなかの重労働。子供の健康と安全はもちろん何よりも大切ですが、できれば不要な手間や労力は省きたいというのが学校側のホンネだと思います。
日焼けが子供の肌に与える影響とは?
これまで子供の真っ黒に焼けた肌は健康的というイメージが強くありました。確かに、適度に紫外線を浴びることで骨の形成が助けられるため、外で太陽の光を浴びるのは成長期の子供にとって大切です。しかし、骨形成のためには10分程度日光を浴びれば十分。
紫外線は浴びすぎると、皮膚細胞の遺伝子が傷つき、皮膚がんになりやすくなると言われています。将来、シミ・シワなどの肌の老化現象も起こりやすくなります。
また、当然ですが日焼けをしすぎると皮膚が赤くなったり皮がむけたりして、ヒリヒリ痛くなってしまいます。アトピーなどで肌がデリケートな人は、日焼けで肌が乾燥すると悪化してしまいますので特に注意が必要です。
少しの日焼けなら問題ないという人でも、1日中外にいるような日には日焼け止めを塗る等の対策をした方がいいですね。
ちなみに学校のプールは、着替えや体操などの準備の時間を除くと、水につかっている時間は1回1時間あるかないかという学校が多いでしょう。
これで解決!学校への上手な要望の仕方
ラッシュガードや日焼け止めが禁止されているけれど、どうにかして許可してほしい。そんなときに、「今どき日焼け対策を禁止するなんてありえない」と、あまり直球で要望を伝えても、必要性がうまく伝わらなかったり、先生との関係が気まずくなってしまったりするかもしれませんね。
そんなときは、
「ご相談があるんですけど・・・」
と言って、日焼けが心配だから対策をさせてほしいということを伝えてみてください。学校全体のきまりとなっていても、特に健康上のこととなれば個人に合った対応をしてくれることがほとんどではないかと思います。
医療機関を受診しているのなら、医師から助言をもらい学校へ伝えてください。
ラッシュガード・日焼け止め禁止としている学校でもきっとなんらかの対応をしてくれるはず。クレームや批判をするのではなく、ぜひコミュニケーションを心がけみてください。
また、「学校としてのきまり自体を変えて欲しい!」という強い要望がある場合は、
・PTAの役員さんに相談をする
・学校評価のアンケートに要望を書く
などの方法が効果的だと思います。
担任の先生一人にお話したところで学校全体を変えるのは難しいのが現実。すぐには変わらなくても、PTAや学校評価アンケートなどで訴え続けていくことが大切です。
まとめ
学校は組織なので、きまりや体制をすぐに変えにくいところがあり、保護者の方がやきもきしてしまうことも少なからずあると思います。しかし、学校もひとりひとりの健康状態に合った対応をできる限りするように変わってきています。子供たちがより良い学校生活を送れるよう、困っていることや疑問があれば相談できる関係を作っていけるといいですよね。