やっててよかった~保健室のエピソード

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「がんばってよかった」「やっててよかった」きっとどんな職業でもこんなふうに思う瞬間ってありますよね。それと同時に、そう思える瞬間がほんのちょっとでもあるってとても幸せなことだなとも思います。私が保健室の先生をしていてよかったなと思えたお話を紹介します。

 

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頻回来室のAちゃん

保健室という場所は、来る子は毎日のようにやってくるし、来ない子はにめったに来ない場所なんです。よく保健室に来る子は「頻回来室者」ということで、何か悩み事があったり困っていることがあったりするのかな?と、注意して様子を観察します。

しかし、問題があるようにも見えないのに毎日のように来室していると、未熟な私は「またか」と思ってしまうのです。特に、小学校低学年くらいの小さい子はただ相手をしてほしくて来室することもしばしば。保健室に毎日のように来ることで、授業に支障が出てはいけないので不要な来室はさせたくありません。

小学校1年生のAちゃんは、他の子よりも体が小さくおとなしい女の子でした。Aちゃんが保健室に初めてやってきたのは、入学してまだ間もない5月。校庭でお友達と遊んでいて転んでしまい、頬に擦り傷ができてしまったのです。幸い、緊急で病院に行くような傷ではありませんでしたが、Aちゃんは大泣き。手当をして、おうちの方に連絡をして、
「痛かったね~。大丈夫だよ~。おうちの人にも言ってあるからね~。」
と声をかけました。少しするとAちゃんは、けろっと泣き止み教室へ。私はほっと胸をなで下ろしました。
しかし、その日以降毎日ではないにしろ、多いときは週に2・3回ほど、不定期ではありますがAちゃんが保健室に来るようになりました。理由は毎回様々で、転んでどこもケガをしていないけれど大泣きをして保健室に連れてこられることもあれば、頭が痛い、お腹が痛いなどなど・・・。他の子と比べて体が小さく、幼い印象だったので「甘えたいのかな?」と思っていました。時にはニコニコしながら「お腹が痛い」と言って来室することもあり、内心困ったなと思う事も多々ありました。

 

Aちゃんにうんざり?

私は日頃から、来室した子供の訴えはひととおり聴き(先生に無断でとかルール違反の場合は追い返すこともありますが・・・)、子供の訴えを否定しないことを心がけていました。(たとえ嘘だなと思っても!笑)
Aちゃんの訴えももちろん聴きます。でも、授業中や、やりたくないことがあったときなどあまり気軽に保健室に来るようになっても困ります。検温する、絆創膏を貼るなどした後は、「ちょっと様子をみてごらん!ダメだったら休み時間にまたおいで」
「みんなは教室で何やってるかな。一緒に教室へ行こう」
「あと1時間で給食だよ!今日の献立は何かな?」
あの手この手で、思いつく励ましの言葉をかけながら教室へ送り届けました。

本当に正直に言うと、他の来室者が何人かいるときなどは
「なんで今来たかな~」
「面倒くさい」
と思ってしまうこともありました。
そんなのこちらの勝手な都合なのにね。今思うと反省です。
そんな具合で、Aちゃんの保健室通いは1学期の間ずっと続いたのでした。

 

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Aちゃんの作文

2学期になり、10月ごろだったでしょうか。ちょうどAちゃんの来室が少なくなったなと思っていた頃、給食の時間に校内放送で作文を発表する企画があり、かわいらしいAちゃんの声が聞こえてきました。

入学式
初めての小学校
初めてのお友達
初めての先生
わたしはとてもドキドキしていました。
授業も給食もお掃除の時間も、全部が初めて。
毎日どきどき。
でも、保健室に行ったとき、保健室の先生が
「大丈夫だよ」
って言ってくれるととっても安心しました。
今は、なかよしのお友達もできてドキドキしなくなりました。
今は学校がとっても楽しいです。

なんだか聞きながら泣きそうになりましたね。
子供が抱えている当たり前の不安をわかってあげられていなかったことに反省もしたし、ちょっとでも「安心」をあげられたなら本当に嬉しいことだなと。
「先生」と呼ばれ、子供に物事を教える立場ですが、こちらが子供から教わり与えられるものの方が大きいのかもしれません。
それからもAちゃんは回数こそ少なくなりましたが、校庭で転ぶ度に大泣きをして保健室にやってきました。そして、手当をして「大丈夫だよ」と声をかけるとけろっと泣き止んで教室へ帰っていくのです。
そんな姿を見る度に、保健室の先生として大切なことを思い出し、がんばろうと思えるのでした。

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