一般女性の3.6倍!女性アスリートに多い無月経や月経不順の治し方は?

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先日、閉会式を迎えたリオオリンピックでは、日本は41個ものメダルを獲得しました。初めての女性主将を務めた、吉田沙保里選手をはじめ、様々な種目で女性アスリートの活躍が見られましたね。

トップアスリートとしてオリンピックを目指す人から、健康維持を目的にしている人まで、目的は様々ですが、日常的にスポーツをする女性が多くなっています。しかし、目先の競技成績を追求するあまり、過度なトレーニングや極端な減量、食事制限を行うと、本来の目的とは離れ、健康を害する可能性があります。

女性アスリートに多い健康問題とは

国際オリンピック委員会では、男女問わず全てのアスリートにとって「スポーツにおけるエネルギー不足」は、発育や精神面、心血管系、免疫系等、全身に悪影響を及ぼすとし、注意を呼びかけています。

特に女性は、運動量に見合ったエネルギーが十分に摂取できていないと、無月経や骨粗鬆症になると言われています。

女性アスリートは10代が大切な時期

エネルギー不足が続くと、脳からのホルモン分泌が低下し無月経となります。そして、エネルギー不足や無月経に伴う低エストロゲン状態により、骨密度低下や骨粗鬆症になることがあります。

骨粗鬆症は閉経後の女性がなりやすい病気として知られていますが、10代の若い女性も例外ではありません。アスリートでは、この弱った身体に運動による負荷が繰り返しかかるため、疲労骨折のリスクが高まるだけでなく、低骨量により生涯に亘る骨折のリスクが高まる可能性があります。

また、女性の骨密度は18歳から20歳で最大になります。最大骨量獲得前の10代で、無月経に伴う低エストロゲン状態が長期間続くと、最大骨量を獲得できなくなってしまいます。すでに骨量が低下している人に対して、骨量を増加させる治療法はなく、10代からの「予防」が最も重要となります。

しかし、このことを知って運動をしている10代の女性は少ないように思います。保健室にやってきた12歳のある女の子は、水泳の強化選手に選ばれ、普段から1日2時間の練習を週に7日行っているそうです。

そして、「最近、体重が増えてきちゃって…。合宿の時は1日で3kgも痩せたことがあるのにな」と言うのです。その子は「運動をしすぎじゃないの?」と心配になるほど日々、激しい運動をしており、太ってもいない育ち盛りの小学生も、女の子は自分の体重が増えることを気にしています。そのような子供たちに対して私は、

  • 二次成長が始まっている育ち盛りのこの時期に体重が増えるのは当然であること
  • 体重が減ってしまうということは必要な栄養が足りていないからであること
  • 実際にオリンピックのシンクロの選手は1日5食、普通の女性の3倍以上ものカロリーを摂っていること

などを伝えるようにしています。スポーツの技能だけでなく、スポーツを通して自分の健康管理についても学ぶ機会を作っていくことが大切だと、強く感じています。

運動量に見合った食事を

無月経の予防法は、「運動量に見合った食事をしっかり摂取する」ことです。月経不順や無月経はエネルギー不足のサインである可能性があります。下記にあてはまる場合は、一度婦人科で相談するようにしましょう。

  1. BMIが17.5(成人)以下、標準体重85%以下(思春期)
  2. 15歳になっても初経がきていない
  3. 3ヶ月以上月経が止まっている

エネルギー不足による無月経が疑われる場合、食事量と運動量の見直しを行い、月経が正常にきていた体重まで回復させるなどの対応が必要となります。

エネルギー不足による無月経・月経不順の予防法と治し方

無月経や月経不順の主な原因はエネルギー不足にあると考えます。そこで、無月経や月経不順を予防、もしくは改善するために普段から意識して頂きたいのは次の2点です。

  1. エネルギーバランスの把握
  2. 食事内容の見直し

1. エネルギーバランスの把握

毎日その日の体重や練習メニュー、できれば摂取カロリー、消費カロリー等を細かく記録し、自分のエネルギーバランスを知ります。エネルギーバランスを把握した後も、記録は毎日続けていくようにしましょう。基本的には、体重の増減と摂取・消費エネルギーとの関係は以下のようになります。

  • (体重増加)摂取エネルギー > 消費エネルギー
  • (体重維持)摂取エネルギー = 消費エネルギー
  • (体重減少)摂取エネルギー < 消費エネルギー

専門家でない限り、消費エネルギーを正確に求めることは難しいため、体重の増減を見ながら摂取エネルギーの量を調整していく必要があります。

2. 食事内容の見直し

食事内容を見直します。無月経を予防するには、消費エネルギーに対して摂取エネルギーを同じに、もしくは多くしていかなくてはなりません。摂取エネルギーを増やすためには、1日の食事の量を増やす必要があります。1日の目安となる摂取カロリーを決めたら、その量を1日のうちで何回に分けてもよいので食べるようにします。

食事は、毎食ごとに、主食・主菜・副菜・牛乳・果物を揃えることが望ましいです。食事だけで足りない場合は、バナナなどの補食を上手に摂って補うようにしていきます。

ただ、すでに無月経になっている場合は上記の2点を自身で実行するよりも、まずは早急に専門家の指導を受け、その指示に従って治療していくことをお勧めします。

また、スポーツを行う女性に過食症や拒食症などの摂食障害が多くみられることも念頭に置かなければなりません。周囲から体重を減らすように言われたり、ケガで体重が増えたりしたことがきっかけとなり、体重を気にするあまり摂食障害となってしまうケースがあるので注意してください。

トップアスリートだけの問題ではありません

全国の大学生アスリートを対象に調査をしたところ、無月経の頻度は以下のようになりました。

  • 日本代表レベル  6.6%
  • 全国大会レベル  6.0%
  • 地方大会レベル  6.1%
  • その他のレベル  2.6%
  • 運動をしない女性 1.8%

地方大会以上のレベルのアスリートでは、無月経の頻度はほとんど変わりません。トップアスリートだけの問題ではなく、運動をする全ての女性が気をつけなければならない問題なのです。

ご自分で運動をされている方も、10代のアスリートを指導している方も、「運動量に見合った食事を摂取しているか」「月経不順や無月経などのエネルギー不足のサインは出ていないか」もう一度見直してみてはいかがでしょうか。

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